ITの知識がなくても描いたIoTモデルを実現することができた
コマニー株式会社
製品開発部 研究開発課
古川 智子 様 (写真左)
渡辺 大輔 様 (写真右)
デスクワーカーの創造性を高めるブース「PiCCOT」
古川さん:元々は、「デジタルの波にのってコマニーでIoTをどう生かしていくか?」という社内プロジェクトがありまして、その時に生み出されたアイディアが形になったものがPiCCOT(ピコット)です。オフィスで同じ場所でずっと仕事をしていると単調であきてしまうよね、では、景色を変える「窓」のような存在があることで心地よく働けるのではないかなという発想から始まりました。そこから、外の景色を感じながら働けるといい気持ちになる人もいれば、例えばライブ会場などのようにテンション上げていった方がいい感じで働ける人もいて、人によって働きたい環境は違うのではないかという仮説ができました。じゃあ、人にあった空間をどのように提供しようかと考え、センサーから情報収集して窓の景色を変えるという製品になりました。
-どのようなセンサーでどのようなデータを取得し、どういった景色を表示しているのですか?
古川さん:まず、アプリで9種類の空の写真から好きなものを直観的に選んでいただきます。それによって、ああこの人は可愛らしいものが好きなんだ、さわやかなものが好きなんだ、というのを判定して、そこからそれをベースに似たような種類の景色を表示します。その間、椅子の背もたれやお尻のシートで心拍数や脈波のゆらぎを測り、自律神経の状態を判断して景色を変えます。ただ単に集中してもらうためなのであれば、遮音性の高い無機質なパーティションでいいと思うのですが、PiCCOTは「気持ちを切り替える」というのがテーマです。気持ちを切り替えないといいアイデアが出にくかったりするなというところから、その人の一番居心地よく働ける景色を自動的に表示します。「その人にとって居心地がいいのは?」ということをセンシングによって情報を得て、自動的に空間を作ります。
- デルタ工業 スリープバスター (使用センサー)
- ミオ・コーポレーション 非接触バイタルセンサー (使用センサー)
オールインワンパッケージという手軽さとサポートの伴走感
-プロジェクト発足時の課題は?
古川さん:居心地の良さというのをどうやって測定するかというところがずっと課題です。今は自律神経に落ち着きましたが試行錯誤が続きました。センサーについてもまったく詳しくないので、手首につけるのか脳の近くに何か置くのか?脳波なのか?脈波なのか?などなど。居心地がいいというのは、データがどういう数値の時かという明確な情報もなく・・。KokoroticsさんのKOKOROスケールというアプリで画像と気分・バイタルや体動の関連性を取得する実証実験を行いました。
また、IT素人なので、カタカナ用語が何もわからなくて、G/W(ゲートウェイ)をゴールデンウイーク、H/W(ハードウェア)をホームワーク?ってくらいでした。なので仕組みづくりをどうしようかというのも課題でした。
渡辺さん:MODEさんとの打ち合わせでも最初は6割7割くらいしか理解できなくて。徐々に理解できてきたのですが、自分たちが社内の人間に説明する際は苦労しました。
-MODEを導入した理由は?
古川さん:富士通クラウドテクノロジーズさんから、いいところがあるよと2年くらい前にMODEさんを紹介してもらいました。それで今の仕組みができあがりました。ITについては素人なのですが、MODEソリューションを導入したことでセンサーを自分で買ってきてG/Wにつないでということをやらなくてよかった。全部最初から最後までやってくれるというところが助かりました。こちらは何もわからないから。センサーを追加したいとなったらすぐに対応してもらえるし、分析するためのデータ出しもやってもらって。素人で何もわからなくても、残りの部分を全部やってくれるというのはすごいメリットでした。
情報がすごく早くて、提案もいろいろ
-MODEソリューションを導入してから気づいた点は何かありますか?
古川さん:Webアプリケーションが直観的で分かりやすい。収集されたデータをリアルタイムで表示するWebアプリケーションはとてもインターフェイスが良くて、お客様に見せた時の納得感はすごかった。
渡辺さん:お客様のところで説明する時に、経営側に立つ人に「効能」を伝えにくいところがある中で、見ればわかるというところが良かった。説得感があった。あとはMODEの担当の上野さんの人柄ですね。
古川さん:Slackで聞けばすぐに教えてもらえるし、お客様の方でメンテナンスが必要な時もすぐ対応してくれました。情報がすごく速い方で、「こういうのはどうですか?ああいうのはどうですか?」っていろいろ提案してもらい助かりました。
PiCCOTの今後の展望
いくつか試験納入させていただいた企業様からのフィードバックから、今回の仕組みは少し複雑だったなと思っています。よりシンプルにユーザーへ届くサービスに改善していきたいです。またコロナウイルスの影響もあり、今後のオフィスの在り方や働き方が変化し、求められる価値も変わってきます。今回はオフィスでの「飽き」に対して画像を切り替えていくという手法を取りましたが、画像だけとは限らないですしカタチも変えていく必要があると思っています。これからの個人の心地いい「働く」のために必要なのは何か、を深堀していきます。
インタビュー後記
実現したいことはあるけど、技術もノウハウもリソースも確保することは難しい。そのような時にMODEのセンサーデータ収集ソリューションで解決できたという好例かと思います。IoT技術・ノウハウをMODEが提供することで、コマニー様にはコアとなる部分に注力いただくことができたのではないかと思います。心地いい働く環境とは何かを模索する中で、今後もMODEがお役に立てれば幸いです。