戸田建設が推進するトンネル工事DX。BizStackがもたらした遠隔監視による安全性向上と業務効率化。
社名 | 戸田建設株式会社 |
業種 | 総合建設業 |
利用サービス | BizStack |
💡IoTビジネス開発 💡データ可視化 💡遠隔監視 💡ベンチャー共創 💡業務効率化 💡センサーメーカー
- 排水ポンプの異常の検知と対応が遅くなり、トンネル内の浸水被害が発生した。
- 異常発生はアラートで検知。対応の迅速化と移動時間を含めた業務削減を実現。
戸田建設株式会社は1881年に創業し、140年を超える歴史と伝統を持つ総合建設会社です。現在、中期経営計画のなかで、機械化施工、新技術・ICT利活用を通じて、安全性・生産性の向上を図る「Smart Innovation」を推進される同社。今回は、トンネル工事におけるDX活用という、現場最前線でのお取り組みを推進される加藤所長、武田様にお話を伺いました。
平串トンネル現場で進む技術活用
同社は常に技術革新に取り組まれており、建築や土木工事において新しい手法や材料の導入、デジタル技術の活用などに注力されています。これにより、効率性の向上や品質の向上を図っています。四万十川にほど近い高知県平串トンネルにおいても、ICTやデジタル技術を活用した安全性・生産性向上の仕組みを取り入れ、諸課題の解決に取り組んでいます。
「いくつか例をあげると、戸田建設の技術部門が開発した遠赤外線カメラとAIによる人物検知システムがあります。人が何メートル近づいているよ、という合図を建機を運転する作業員に送ることで、機械と人の接触を防止する仕組みを導入しています。またトンネル内にLED高照度ライトを入れ、安全性を確保しながら、電気代も抑えるといった努力もしています。」(加藤所長)
戸田建設株式会社
四国支店 平串トンネル工事作業所長
加藤 広則 様
「当社はこのような現場でのテクノロジーの活用を、技術営業部門や研究本部との連携により、現場での導入を全国展開したいと考えています。
営業活動の段階から、どういった提案を出したらいいかということを私の方から意見をあげることもあります。また、他の現場で活用された技術を『こういうのがあるんだけど』と紹介され、現場で活用できるか諸条件を検討して採択しています。」(加藤所長)
本社との情報交換を行う中、2023年6月に紹介されたのがMODEのソリューションでした。排水ポンプ管理を行なっている他の建設会社でのBizStack活用事例が加藤所長の目に留まりました。
LED高照度ライトが設置された平串トンネル
BizStackを活用した理由
「トンネル工事は土壌を崩していく作業となりますが、土壌に溜まった水が湧き出てくるため、排水を行う必要があります。ですが、漏電による排水ポンプのトラブルや、突発的に湧水量が増えたことによりトンネル内が浸水してしまった、という事象がたびたび発生していました。トラブルや予期せぬ事象が発生することは仕方がないことですが、現象に気づくのが遅れてしまった、ということが問題だったのです。」(武田様)
戸田建設株式会社
四国支店 平串トンネル工事係員
武田 佳記 様
BizStackが現場の問題を解決することを予感した平串トンネルのメンバーは、MODEメンバーと何度も検討を重ね、BizStackを活用した排水ポンプの遠隔監視システム構築を決定しました。
BizStackを導入した効果
「平串トンネルの工事事務所には、トンネルに設置したWebカメラの映像が見られるモニターがあります。BizStack導入以前は、思い出した時にモニター越しに状況を確認していたので、気づくのが遅れる可能性もありました。BizStack導入後は、有事の際にはアラートが自動で飛んでくるので、いち早く気づくことができます。モニターに張り付く必要もなく、他業務に集中して取り込むことができますし、現場にいるメンバーに確認依頼をして迅速に対応するといったアクションが取れるようになりました。事務所からトンネル現場までは、車でも10分はかかる距離にあるため、一回の確認作業に1〜2時間は要してしまいます。その確認作業を抑えることができるのは非常に助かりました。」(武田様)
また、導入に際し、今までこのような話がありました。 「いちいち電気を這わせないといけない、通信を持ってこないといけないといった手間があると、現場サイドとしてはなかなか導入に難しさを感じます。理想は知識がない人でも誰でもできること。その点、今回の現場での作業は自動給電のセンサーを設置するだけ。ソフトウェアの設定には多少戸惑いはありましたが、MODEからのサポートも受けられたので、非常に簡単に進めることができました。」(武田様)
「トンネル工事現場の諸条件や制約に合わせて、導入する技術の検討を行わないとなりませんが、結果としてBizStackの導入と活用はメリットを感じました。」(加藤所長)
センサーの設置状況
これからの現場の改善に向けて
労働環境の改善のため残業時間の規制が義務化される、いわゆる2024年問題に向けてどのような対応が必要でしょうか。
「人員の採用は進める一方、いかに多岐にわたる現場施工管理業務を効率化していくか、まさに検討しているところです。施工管理は幅広い項目がありまして、工程管理や安全管理はもちろん、作業員さんとの調整や、材料の発注業務や支払い管理など、非常に多くの項目数があります。
また工事現場は昼と夜の2交代制で常時稼働し続けます。ですから日中には対応できるが夜間では対応できない、そういったことがないように、何をどうすれば現場の負担が緩和されていくのかを考えていきます。」(加藤所長)
「BizStackの導入で、遠隔監視の仕組みにより作業時間を短縮していったその積み重ねが、現場の生産性を向上させると実感しました。
現場の負担を緩和するためには、現場の作業員さんや、自分より若いメンバーを手助けする仕組みが必要と捉えています。その点では、BizStack Assistantにも関心があります。
例えば、セメントの在庫量をカメラやセンサーを使って測定し、在庫が不足した場合には自動で発注を行う、というような事が実現できれば、施工管理業務の軽減にも繋がるかもしれません。また、こういう時にはこう対応する、というベテランの方が持つ経験からできる判断を、若いメンバーが生成AIを活用することでそのノウハウを引き継いでいく、そういう形での現場の手助けができるのではないか、と生成AIに可能性を感じます。」(武田様)
何もしなければ何もしないで終わってしまう
現場の課題解決を推進するそのポイントは何か、最後に伺ってみました。
「機械の自動化やシステム導入は数多くこなしてきましたが、やはり課題の方が多いんですよね。そうすると何か導入したけど、時間が早くなるはずがかえって時間がかかってしまうこともあるわけです。だけどやってみないとそれって出てこないし、前向きに取り組まないといけない。何もしなければ何もしないで終わってしまう。今の時代、テクノロジーの導入は避けては通れない道であると考えます。」(加藤所長)
貫通石
写真は「貫通石」といって、トンネル完成を祝って、ご協力いただいた業者さんや地元の方にお渡しするのだそうです。飾り付けは加藤様の地域地域の特色を生かしたデザインによるもの。「地元の皆様、協力会社、支店や本社の協力があってこそ。どうしたら喜んでいただけるか、そういうこと一つとっても仕事、何かを引き出さなきゃいけないと考えてます。」(加藤所長)
※掲載内容はインタビュー当時(2024年2月)のものです。