高額な設備を水没から守る水中ポンプの無人監視を実現し、異常発生時に素早く対応できる体制へ

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社名 西松建設株式会社
業種 建設
利用サービス MODE Sensor Cloud
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💡IoTビジネス開発 💡データ可視化 💡遠隔監視 💡ベンチャー共創 💡業務効率化 💡センサーメーカー

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  • 水中ポンプを無人監視し、設備の稼働状況確認のための巡視負担を軽減したい
  • 設備の停止時には迅速な復旧対応をしたい
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  • C3-less電力センサでセンシングしたトンネル内水中ポンプの稼働状況データをクラウドに保存し、遠隔からでもデータの確認ができた
  • ポンプの停止や復旧の状況を随時通知メールで確認することができた

西松建設は明治7年の創業以来、140年を超える長い歴史と伝統によって培われた高度な技術力を強みに、道路やダム等公共施設の建設や都市再開発を手がける総合建設業者です。同社の技術研究所は60年以上の歴史を持ち、社会に役立つ技術開発を目指して、安全性・効率性の高い施工技術や品質・耐久性・機能性の高い材料や施工法の研究開発を行っています。

西松建設株式会社が共同開発した水中ポンプ稼働状況の無人監視システム「Newt(ニュート)※」において、データの保存から可視化、異常を検知した際のアラート機能としてSensor Cloudをご利用いただいています。

今回は西松建設株式会社 技術研究所 土木技術グループの山本様と纐纈様に水中ポンプ稼働状況の無人監視システム「Newt(ニュート)」についてうかがいました。

※本技術は「官民研究開発投資拡大プログラム」の予算を活用した国土交通省の令和3年度「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の試行技術です。本技術は西松建設(株)、(株) sMedio、MODE, Inc.、 菅機械工業(株)、泰興物産(株)の共同開発によるものです。

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「Newt」運用イメージ

水中ポンプが止まると高額な設備や機器を水没させてしまう恐れがあった

ー お二人の業務内容を教えてください。

山本様:技術研究所では主に山岳トンネル工事に関係する技術開発を担当しています。特に最近ではトンネル施工の無人化や遠隔施工技術を開発していて、現場の職員や作業員さんが楽になるような技術開発を行っています。

纐纈様:山岳トンネル現場の施工を支援するための技術開発やそれらの技術の適用に関するアフターフォローの全般を行っています。

ー 水中ポンプ稼働状況の無人監視システム「Newt(ニュート)」についておうかがいしたいのですが、なぜNewtという名称になったのでしょうか?

山本様:水中ポンプの監視ということで「水を見守る」という意味を込めて、爬虫類のイモリの英語名であるNewt(ニュート)と名付けました。頭文字が西松建設のNでもあるので、ちょうどよかったんです。

ー トンネル工事において水中ポンプはどれほど重要なものなのでしょうか?

山本様:トンネル掘削において湧水はつきものです。トンネルを上り勾配で掘る場合は、先端で水が出ても自然流下してくるため最悪ポンプが無くても排出ができます。しかし、下り勾配で掘る場合は、先端で水が湧いて来ると強制的に排出しないとトンネルが水没するので水中ポンプが特に重要です。水中ポンプが止まってしまうとトンネル内の水かさが増して、高額な設備や機器を水没させてしまうことになります。ポンプを絶対に止めないことは難しいので、止まってしまった時に早く知って交換や修理を素早く行う体制作りが大事だと考えていました。

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西松建設株式会社 技術研究所 山本様

長期休暇の際には点検作業に1日拘束されることも

ー これまで水中ポンプはどのように点検していたのですか?

山本様:通常の施工日は現場の職員や作業員さんが常に気にかけているので、もしポンプが止まってもどこかの水かさが増したりしてすぐに気づけます。ですが、ゴールデンウィークやお盆などの長期休暇の間にポンプが止まってしまうと誰も気づかずに完全に水没してしまうので、作業員さん等に日当をお支払いして点検しに行ってもらっています。

ー 点検はどれくらいかかる作業ですか?

山本様:頻度で言うと午前1回と午後1回で、1回の巡視で現場の規模にもよりますが1時間以上はかかる作業です。1日2回の点検とはいえ、現場への往復も考えると1日拘束してしまいます。

纐纈様:トンネル工事は掘削が進めば進むほどフィールドが広くなっていくので、工程が進むにつれて点検作業の時間も長くなってしまいます。

ー 仮に現場が水没してしまうとどれくらい影響があるのでしょうか?

山本様:大雨などでも水没することがあるんですが、1台3000万円〜4000万円の重機の補償が必要になります。加えて、工事中は路盤が舗装されていないので、水でぐちゃぐちゃになってしまった路盤を治す作業にも1日、2日かかってしまいます。仮に機器が無事でも時間的なロスになります。

ー 水中ポンプの監視ははじめからIoTを活用しようと思っていたのですか?

纐纈様:水中ポンプにおける課題は監視に人手がかかってしまうことだったので、人手がかからないように自動化や無人化ができればいいなと考えていました。そのため手段としてはIoTが真っ先に浮かびましたし、IoT以外ではなかなか難しいと感じていました。

山本様:ある展示会で泰興物産さんのC3-less電力センサを見つけたんですが、無給電で機器の稼働状況を確認できるセンサーなので、逆にポンプの稼働が止まってしまったことを検知することもできるんじゃないかなと思いました。このセンサーを使うとなるとデータを集めるためのクラウドが必要だということで、あまりIoTは意識していなかったんですが結果的にIoTになったという形です。

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C3-less電力センサ分電盤取付状況

ー人力での監視作業の負担軽減に繋がりましたか?

纐纈様:現場に出ている職員や作業員さんはポンプの監視だけをしているわけではないので、ポンプ監視の課題を解決しただけでは1日の業務が変わるわけではないのが実状です。ですが、このような無人監視のシステムを構築できたことは現場の業務負担軽減や働き方改革に繋がることだと考えています。

できないと言わずに代替案を出してくれたので納得しながら進められた

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Nishimatsu Sensor Cloud画面

ー MODEを知ったきっかけはどのようなものでしたか?

山本様:MODEはある展示会で知りました。自分達のアイデアや意見を形にしてくれるようなところと組みたいという思いがありました。大手のクラウドサービスを提供している企業では自由に開発を行うのは難しいかなと思っていたので、MODEのようにフットワークの軽いところを探していました。

ー MODEに決めてよかった点はありますか?

纐纈様:有りものだけの対応ではなく、Sensor Cloudでもカスタマイズしてもらえたことです。今回は水中ポンプだけではなくAI切羽作業自動判定システムとエネルギーマネジメントシステム(N-TEMS)の技術も合わせて表示してもらえたことが本当によかったと感じています。

山本様:こちらの要望に対し絶対できないって言わないところがいいですね。他の会社だとよく「それはちょっとできません…」と言われるんですけど、MODEはできないと言わないで解決策や代替案を出してくれます。それに対してお互いに納得しながら進めていくことができてよかったと思います。

ー Sensor Cloudの使い心地はいかがですか?

纐纈様:直感的で使いやすいなと思いました。私はプロジェクトの途中から参加したのですが、そんな私でもすぐに使うことができたので、使い心地に満足しています。

山本様:メールのアラート機能に関してはすごく細かく設定ができる点がいいですね。実際の現場に導入したのですが、現場の職員だけでもアラートの設定ができています。

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アラート通知メール例

トンネル現場のDX実現のためにますますデータ収集・活用が重要に

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西松建設株式会社 技術研究所 纐纈様

ー 今後MODEとともに取り組みたいことやMODEに期待することを教えてください

纐纈様:今後は今回取り組んでいただいた水中ポンプの監視以外にも施工中のいろんなデータを集積、管理していくことになると思うので、引き続きMODEと一緒に取り組んでいければと思っています。

山本様:今年弊社では「西松DXビジョン」が策定され、DX戦略室が立ち上がりました。私もディスカッションに参加していて、トンネル工事の現場でもデジタルツインやメタバースを活用していく必要があると感じています。これらは現場のありとあらゆるデータを収集することとそのデータを活用できるように見せることが必要になってくるので、この辺りでMODEと協力していけたらと思っています。トンネル現場のDXをぜひ一緒にやっていけたらいいです。

本日は貴重なお話をありがとうございました!引き続きご支援やご協力させてください。
※掲載内容はインタビュー当時(2022年9月)のものです。